妊活中。残暑の中でも大切な水分補給 その2 〜上手な水分のとり方〜
〜不妊症克服〜水分補給妊活中の水分補給についての続きです。(その1はこちらをご覧ください→⭐︎)
1 水分補給、飲めば飲むほどよい?
成人の体の約60%を占める水は、栄養素や代謝物を運んだり、体温を調節したりと生きていくために重要な役割を担っています。
しっかり水分を摂らなければと「1日2ℓ 飲んでいる」という方もいらっしゃいますが、摂りすぎることも問題があります。
東洋医学では「気・血・水」が巡ることによって、体が正常に機能すると考えます。生命エネルギーである気、栄養や酸素を運ぶ血(血液)、血液以外の体液である水。この水が必要以上に体に溜まって悪影響を及ぼすことを「水滞(水毒)」と言います。水滞については、最後の方でお話ししますが、では1日に必要な水分量はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省では「健康のために水を飲もう」推進運動を全国的に展開しています。それによると、体内の水分が不足すると、熱中症だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞など様々な健康障害を引き起こす要因となるため、こまめな水分摂取を推奨しています。
参照:「健康のために水を飲もう」推進運動についてはこちらをご覧ください→⭐︎水を飲もう
2 適切な水分補給とは
一般的に、1日に尿や便、汗、呼吸などから約⒉5ℓが排出されるのに対し、食事から約1ℓ、体内で代謝されて作られる水が約0.3ℓと言われていますので、飲み水としての目安量は約1.2ℓということになります。
前回もお話しした通り、妊活中はしっかり栄養や酸素、ホルモンを必要な卵巣や子宮に届ける必要があるため、血流が滞ることがないよう、適正な量の水分を補給することが大切です。
① 喉が渇く前に飲む
喉が渇いたときにはすでに脱水が始まっています。「朝起きたとき」運動の前後」「入浴のあと」「夜寝る前」などこまめな水分補給の習慣を。
② 常温の水を
暑い日は冷たく冷やした水がおいしく感じますが、体を冷やしてしまい血行不良を招く恐れがあります。常温の水か白湯を選ぶと良いでしょう。
③ カフェインの多いもの、アルコール飲料、ジュース類は避ける
カフェインが多いコーヒーや紅茶、アルコール飲料は利尿作用があります。またジュース類は逆に喉が渇いたり糖分の摂りすぎにつながります。
ノンカフェインのハーブティーやルイボスティー、ほうじ茶、麦茶などがお勧めです。ただしハーブティーの中には強い作用のものもあるので、表示をよく読んで適量をとるようにしましょう。
3 水滞(水毒)について
朝起きると瞼が腫れぼったい、お腹を触ると冷たい、靴下のゴム跡が残る、夕方になると靴がきつくなる、胃腸が重だるく食欲がない、ふわふわした感じのめまいや頭痛がする、曇りや雨の日に体調を崩しやすいなどの症状がある方は水毒体質かもしれません。
4 水滞(水毒)を予防、改善するには
① 水を飲み過ぎない
水滞体質の人は体に水を溜め込みやすく巡りも悪いので、水分補給は少量をこまめに飲むようにしましょう。暑いからと冷たいものを一気に飲むのも胃腸に負担がかかり、さらに体調を崩す原因になります。
② 体を温める食品を摂る
温かい飲み物や陽性の食品(ごぼう、大根、人参、生姜、唐辛子、海藻、赤身の肉や魚、玄米、シナモンなど)を取り入れて代謝をあげて。
③ お腹や足を冷やさない
内臓が冷えていると代謝が悪くなって消化能力が落ちますし、足の冷えは筋肉のポンプ作用がうまく働かないので、むくみや疲れやすいなどの症状が。夏でも靴下を履いたり、寝る時もお腹にタオルをかけるなど冷えないようにしましょう。
生命を維持するだけでなく、血液の循環を良くして栄養や妊娠に関わるホルモンを卵巣や子宮に届けるために、妊活中こそ、水分補給について考えてみてはいかがでしょうか。
④ シャワーだけでなく、お風呂に浸かる
いつもシャワーだけで済ましている方は、じっくり汗をかくまでお風呂で温まりましょう。お気に入りのアロマや音楽でバスタイムを楽しんで。
⑤ 軽い運動習慣を
ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、無理のない範囲で続けられる運動を習慣にすることで、筋肉量も増え、巡りの良い体作りに繋がります。
体にとって必要不可欠な水。妊活中も上手に水分を補給して、残暑を乗り切りましょう。
妊活中。残暑の中でも大切な水分補給 その1〜経口補水液について〜
〜不妊症克服〜水分補給
今年の夏は35度以上の猛暑日や体温を上回る40度の「酷暑日」もあり、命の危険を感じるような暑さが続きました。9月、10月になっても日中はきつい残暑が続きそうで、油断していると熱中症になる危険があります。
熱中症は気温や湿度が高い環境で体温調節がうまくいかず、体内に熱がこもってめまいやだるさ、吐き気、嘔吐など様々な症状が起こる状態です。屋外での活動だけでなく屋内にいても熱中症になることがあり、こまめな水分補給が欠かせません。
人間の身体の約60%は水分ですが、その5%を失うと脱水症状が出てきます。水分が少なくなると血液がドロドロの状態になり、血流が滞って体に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなります。
妊活中は特にホルモンの働きをよくすることが重要ですが、ホルモンも血流に乗って卵巣や子宮に運ばれるため、スムーズに流れるように水分をしっかり摂りましょう。
しかし、大量の汗をかくと水分だけでなく電解質も失われてしまうため、塩分なども補給する必要があり、熱中症予防に様々な種類のスポーツドリンクや経口補水液が市販されています。どれも塩分や糖分を付加した飲み物ですが、実は違いがあります。
実は別物? 経口補水液とスポーツドリンク
【スポーツドリンク】とは?
運動や日常生活などでの発汗によって体から失われた水分やミネラルを効率よく補給できる清涼飲料水です。運動で溜まる乳酸の分解や回復に効果的なクエン酸や糖分を多量に含んでいるので、水分と塩分補給だけでなく、疲労回復にも効果的です。ただし、500mlあたり20〜40gの糖分が含まれるため、水代わりに頻繁に飲み続けると肥満や虫歯になる危険も。酸性度が強いので、酸で歯のエナメル質の表面が溶ける可能性もあるので、注意が必要です。
【経口補水液】とは?
水にミネラルとブドウ糖を一定の割合で配合した飲料。体液とほぼ同じ浸透圧のため、吸収率・吸収速度が非常に高く、「飲む点滴」と呼ばれています。
経口補水液は、脱水のための食事療法(経口補水療法)に用いるもので、「※軽度から中等度の脱水症の際、水や電解質の補給、維持に適した病者用食品として個別に審査、許可を得て販売されているもの」です。スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、水と電解質の吸収を高めるために糖質が低い組成となっています。
※脱水症軽度→体重減少が2〜5%(軽い下痢・嘔吐・微熱)、中等度→体重減少5〜10%(喀痰喀出困難・血圧・臓器血流低下・心・腎・呼吸不全)
なお、令和5年5月から、「経口補水液」と表示して販売するためには、特別用途食品の許可が必要となり、広告を含め、許可を受けていない商品に「脱水時」「熱中症対策」等と表示をすると違反となります。購入する時は下記を参考にして下さい。
普段の水分補給は水かお茶で十分です。
経口補水液500mlには食塩に換算すると約⒈5gのナトリウムが含まれており、味噌汁1杯分又は梅干し中1個分に相当するため、普段の水分補給でがぶ飲みするとナトリウムの過剰摂取につながります。高血圧、腎臓病、糖尿病等の疾患がある方は飲用する際は、かかりつけ医に相談を。
普段の水分補給に最適な水とお茶については、次回お話しします。
厚生労働省のリーフレットを参考に、熱中症を予防して暑い夏を乗り切りましょう。
参照:「熱中症予防のために/厚生労働省」 熱中症